自己破産を決意して弁護士に依頼すると、次に待っているのは膨大な資料の提出作業です。
依頼してすぐに返済が止まり気持ちが少し楽になる…そんな淡い期待とは裏腹に、ここからが本当に大変な準備期間でした。
特に私の場合は、法人と個人の破産が同時進行だったこともあり、求められる資料の範囲も膨大。
それらを集めては弁護士に提出し、さらに「この点の補足資料を出してください」「この取引の内容がわかる明細を追加でお願いします」といった連絡が繰り返し届きます。
用意した資料の一覧(私のケース)
一部抜粋ですが、弁護士に提出を求められた主な資料は以下のようなものでした:
- 給料明細(数か月分)
- 所有している預金通帳すべて(記帳漏れがないように)
- 証券口座の取引履歴(もしNISAやiDeCoやっていればそれも全て)
- 相続資産の有無と内容
- 保有する全てのクレジットカード利用明細(特に1年以内の高額利用)
- 分割・リボ払い中の商品とその内容
- キャッシュバックや入金履歴があれば詳細
- 自家用車がある場合、 車検証、購入契約書、ローン明細、自動車保険証
- 自動車のローンが残っているならその契約書・明細
- 生命保険の契約書、解約履歴(返戻金も含む)
- 勤務先の就業規則(退職金の有無確認のため)
- 過去、自宅や工場を売却した際の契約書と返済履歴
- メルカリやヤフオクなどのフリマアプリの取引履歴
- 賃貸物件・トランクルームの契約書と預り金情報
- 貸しコンテナ(トランクルーム)を借りているならその理由(資産の隠し場所ととられる)
- 許認可が必要な事業の場合はその証書
- 携帯電話の残債や複数契約の有無
- 借金の詳細(全ての債務先について、いつ、なぜ借りたかの陳述)
- 売却した工場設備の金額と使途
- 特許庁登録の意匠登録や商標登録の証書(自社開発した商品の意匠登録をいくつか取得していました)
- 医療費の領収書や治療歴(私は2~3年の間に3つの大きな手術を経験)
- 中小企業共済や出資証書のコピー
- 使用中のクレジットカードとETCカードの現物確認
どうですか?すごい種類と量でしょう?
これらのうち、ひとつでも不備や不足があれば、再発行手続きや補足資料の作成が必要でした。
あと記にも書いていますが、「こんなことまで必要?」と思ったのが、ポイント還元の数十円の入金まで「これは何ですか?」と説明を求められました。
ざっと挙げただけでもこのボリュームです。この記事を書くために、弁護士とのメールのやりとりからリストアップしましが、当時を思い出しただけでげっそりしてきました。
私の場合、事業も終盤にはミニマムになっていましたし、個人の借り入れ先とクレジットカードも数社でもこれだけですが、そこそこの規模の事業をされていた人や、借入先が多岐に渡っていたらもっと必要なものは増えるでしょう。
フルタイム勤務しながらの資料探しは正直きつかった
自己破産準備と同時に、生活のためフルタイムの仕事に就いた私にとって、「夜に帰ってきてから資料を探す」という作業は本当に骨が折れました。
段ボールをひっくり返し、昔のファイルをめくりながら「この書類はどこに行った?」と探し回る日々。
とくに古い通帳や契約書、医療関係の領収書などはどこに保管していたのか自分でも覚えていないものが多く、「もう見つからない…」と途方に暮れたことも一度や二度ではありません。
無ければ無いで、仕事の休暇を取って各機関に赴いて再発行を依頼したり問い合わせなければなりません。
心が折れそうになっても、ここは避けて通れない
自己破産の依頼をする前とあとでは「辛さ、しんどさ」の中身が違っていました。
依頼前は「金策に困って精神的に追い詰められる」感じ。
依頼後は「肉体的な疲労+時間に追われる辛さ+記憶をたどる困難」と表現するのがぴったりな気がします。
「記憶をたどる困難」というのは例えば2、3年前のETC記録で「何のためにここへ行ったのか?」や「この750円の使い道は何ですか?」など本当に細かいことまで説明の必要がありますが、思い出せないこともたくさん。
こういうことでもだんだん精神的に参ってきます。
私の場合、当初弁護士の説明では裁判所への申し立ては3ヶ月以内を目標に、でしたが結果的に6ヶ月かかってしまいました。私が資料を用意するのが遅くなればそれだけどんどん日にちが過ぎていきます。
正直、破産手続きにおける最大の山場はこの資料準備だったのではないかと思います。
しかしこれは、単に「書類を集める」のではなく、これまでの金銭の流れを弁護士が精査し、裁判所に説明できるよう整えるために必要不可欠なプロセスなのです。
今回リストアップした内容は、当然人によって必要な物が異なってくるので参考にならない部分もあるかもしれませんが、細かい内容はさておき、「これだけ必要なら自分の場合はあれが必要になるかもしれない」という感じで、先回りして準備しておくと良いでしょう。
この記事を読んでくださっている方が同じような状況にあるなら、「自分のためにも、ここを丁寧にやり切ろう」と思っていただけたら嬉しいです。