〜焦りの中でやらかさないために〜
借金がかさんで返済も厳しくなってきた…。
「もう自己破産しかないかも」──そう思い始めたとき、焦りや不安からつい間違った行動をとってしまう人は少なくありません。
実際、私自身も「どうにかしてもう少し現金を…」「ここで凌げれば…」と、じたばたしてしまった経験があります。
でも、そこでやってしまった行動が、あとあと免責不許可(借金をチャラにしてもらえない)という事態につながることもあるんです。
ここでは、私自身の体験や弁護士からのアドバイスをもとに
**「破産前に絶対やってはいけない行動」**を5つ紹介します。
まず先に伝えておきますが、「破産法」という法律によって、破産による免責が認められなくなる11の事由が定められていますので、それをよく知っておくことが大事です。
参議院・破産法の条文
第十二章 免責手続及び復権
第一節 免責手続(第二百四十八条―第二百五十四条)
第252条(免責許可の決定の要件等)
この中では、管財人の調査に協力する等破産手続きに入ってからすべきことも含まれていますが、私がここでお伝えしたいのは、破産を依頼しにいく前の段階で、お金に切羽詰まった人がやってしまう恐れがあることを書きます。
1. 新たな借り入れをしない
破産するしか方法無いかも、と思っている人が「もうちょっとだけ…」「生活費が足りないから…」と、新しくカードローンや消費者金融から借りるのは絶対NG。
この時点での借り入れは、“破産するつもりで借りた”と見なされる可能性があります。
つまり、**最初から返すつもりがなかった=免責不許可事由(破産法252条2号)**にあたってしまうんです。
気持ちは分かります。でも、「最後の一手」で借りるのは、のちの手続きで自分の首をしめることになります。
2. クレジットカードで買い物 → 現金化しない
破産を考えているときにカードで高額商品や換金性の高いもの(例えば金券や家電)を買って売る、というのも非常に危険です。
これは**「現金化目的の信用取引」として裁判所に問題視される**ことがあります。
私の知人は、破産前にブランドバッグを買って売却したことで、説明を求められたと聞きました。
元々転売目的で購入したわけでは無かったとしても、このような状況で直近に購入した物を売って現金化するのはとても危険です。
「モノを売って金を作る」というのはヤフオクやメルカリ、リサイクルショップが一般的になった現代では何ら問題ないことですが、破産間近の人は、そう考えた瞬間すぐに弁護士の元へ行くべきです。
破産が頭に浮かんだ時点で、カードはもう使わない。これが鉄則です。
3. 財産を勝手に移動・名義変更しない
一般的な人にとって金融資産以外の大きな資産といえば家と車があるとおもいます。
破産となればこれらも差し押さえや換価の対象になります。したがって「車を家族の名義に変えておこう」など考えてしまうかもしれません。
でも、これもかなり危ない行動です。
破産法では、“破産財団”に属する財産(つまり債権者に分配される財産)を勝手に減らす行為は、不許可理由(第252条1号)とされています。
「自分では隠したつもりはない」「一時的に預けただけ」と言っても、名義が変わっていればそれでアウト、というケースも。
迷ったら、必ず弁護士に確認してから動いてください。
4. 契約を勝手に解約しない
契約ごとは法律条文の中で言及されていませんが、これは実際に私が弁護士に何度も念を押されたことです。
たとえば、
- リース契約(事務機器や車)
- 保険契約
- 携帯電話やインターネット
- 借家・レンタル倉庫などの賃貸契約
私は駐車場を契約しており、「これは解約したほうが良いですか?」と何度も確認していました。
弁護士の回答は「私からの指示があるまでぜったいにやらないでください」と注意されていました。
具体的にどういう支障がおこるか法律素人の私にはわかりませんが、いずれにしてもこういった**“契約関係”を勝手に解約すると、後で管財人の仕事に支障が出る**場合があるようですので、十分に気をつけてください。
手続きの途中で「なんで解約したの?」「その契約どうなったの?」と聞かれて困るのは自分です。
破産を意識しだしたら、契約関係は勝手にいじらず、必ず弁護士に相談を。
5. 「なんとかなるかも」と先延ばしにしない
最後はメンタルの話です。
私もそうでした。「あと一ヶ月、なんとかなるかもしれない」
「まだ売上があるし、持ちこたえられるかも」
でも、そう思ってる間にも、資金は確実に減っていきます。
そして、いざ「もう無理」となったときには、
弁護士費用すら用意できない状況になっているかもしれません。
破産手続きにはお金も準備も必要です。破産の「Xデー」は弁護士と相談の上決定すれば良いですから、とにかく相談に行くことが大事です。
なにしろ精神的にも落ち着くことができます。
まとめ|やってはいけない行動は“自分を守るため”でもある
焦りや不安の中で、人はとんでもない判断をしてしまいがちです。
でも、その判断の一つ一つが、後から破産手続きを難しくしたり、免責が下りなくなる原因になったりするんです。
自己破産を意識したら絶対にやってはいけないこと
- ❌ 新たな借り入れ
- ❌ クレジットカードの現金化
- ❌ 財産の名義変更や移動
- ❌ 契約の自己判断による解約
- ❌ 自己判断による“先延ばし”
「破産しよう」ではなく、「もしかしたら破産かも」と思ったときが、冷静な判断ができる最後のタイミングかもしれません。
迷っている方には、ぜひ一度、弁護士や法テラスなどの専門機関へ相談してみてほしいです。
“失敗しないために動く”という感覚で、ぜひ参考にしてください。