ネットや弁護士サイトには「自己破産の流れ」が図解で掲載されていますが、実際に破産に踏み切った人間からすると、あの流れは理想モデルであって、現実はもっと地味で時間もかかるものでした。
今回は、私自身が経験した自己破産(法人と個人同時)のスケジュールを振り返りながら、リアルな進行過程をお伝えします。
第1章:法律相談にたどり着くまでの現実(8月上旬〜中旬)
事業の継続が限界に達し、いよいよ破産を考えざるを得なくなったのが8月上旬。
まず最初に向かったのは、法テラス(日本司法支援センター)でした。しかし、相談には予約が必要で、最短でも8月下旬になるとのこと。さらに自治体の無料法律相談も確認しましたが、こちらは10月ごろまで予約がいっぱい。
とてもそんなに待っていられる状況ではなかったため、自宅から比較的近い法律事務所に連絡を入れ、お盆明けに予約が取れました。
第2章:依頼から申し立てまでの長い準備期間(8月中旬〜翌年2月)
予約当日、預金通帳や会社の決算書、借入明細などを持参して面談。借金の経緯や現在の生活状況などを説明し、正式に依頼。
着手金および破産手続きに必要な予納金を振り込み、ここから破産申し立てまでの準備が始まります。
この期間中は、だいたい月1回の頻度で事務所を訪れ、ヒアリングと資料提出を繰り返しました。打ち合わせ時には家計簿の提出と、すべての預金通帳のコピーを持ち込み。提出した資料の精査によって「この書類が足りません」「この内容を補足してください」と指示が入ることもしばしば。
時間の都合がつけば持参、無理なときは宅配便で送付。こうして書類の山をかき集めながら、当初は「年内に申し立てを目指しましょう」という話だったものの、資料が揃いきらず、陳述書の作成も遅れ、最終的には2月中旬に裁判所へ提出することになりました。
第3章:申し立て後の動き(2月〜6月)
提出から1か月以上経過した3月中旬、裁判所から破産手続き開始決定の通知が届き、同時に破産管財人が選任されました。
この裁判所の破産手続き開始決定が官報に掲載されます。官報には毎日破産関連の情報が載りますが、もし知り合いがタイミング良く閲覧したら破産したことがばれます。
でも一般の人が官報をチェックするということは通常無いですけどね。
そしてこの時点で、すべての郵便物が破産管財人の事務所へ転送されるようになります。自宅に届くべき書類や請求書も、まずは管財人がチェックする体制です。
また、裁判所と管財人へ提出する新たな陳述書もこのタイミングで作成。
さらに、この時期から月1回のペースで管財人との面談が始まりました。ネットでは「面談は1回だけ」という情報も見かけましたが、私の場合は6月の債権者集会まで、毎月1回ずつ面談が続きました。
初回はかなり緊張して臨みましたが、面談時間は10分ほど。提出資料の確認や簡単な質問のみで、驚くほどあっさり終わりました。
第4章:債権者集会とその後(6月〜)
6月、第一回債権者集会が開催されました。
会場には債権者は誰も来ておらず、手続き自体は5分ほどで終了。裁判官からは「提出されている資料に間違いはありませんか?」と聞かれた程度で、拍子抜けするほど簡素なものでした。
次回の集会は8月に設定され、以後も月1の管財人面談は続いています。
結び:リアルな自己破産手続は、地味で根気の要る道のり
こうして振り返ってみると、ネット上で紹介されている「破産の流れ」はあくまで理想的なフローであり、実際は資料準備・修正・再提出の繰り返しと、地味で地道な作業の連続でした。
何よりも大変だったのは、フルタイム勤務と並行してこれらの対応を行ったこと。毎晩、疲れた体で過去の書類をかき集める作業は、心身ともに負担が大きかったです。
ですが、実際にその道をたどったからこそわかる「流れのリアル」。これから破産を検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。