中高年の仕事探し

60歳からの再出発──緊張の初出勤と、安心できた最初の1ヶ月

はじめに:もう一度働く。その緊張と不安の朝

60歳を過ぎての就職。
ただでさえ緊張する場面ですが、私にとってこの初出勤は、さらに特別な重みがありました。

というのも、つい1ヶ月前に勤めた物流会社では、まさに“ハズレ職場”にあたってしまい、たった5日で辞めた経験があったからです。

初日からピリピリした空気。教える側はマニュアルもなく、ただ「見て覚えて」と言わんばかり。ミスをすれば怒鳴られ、指導というよりただのパワハラ。

採用が決まったことは嬉しいことでしたが、「またあの職場のようだったら、今度こそ続けられないかもしれない」──そう思いながら、守衛さんの前を通るときには、まるで時間が逆行して悪夢が戻ったような気持ちでビビっていました。

初日:想像とは全く違う、温かい出迎え

そんな不安を抱えていた私にとって、初日の印象は正直、驚きでした。

出社してまず、所属フロアの皆さんに丁寧に紹介していただき、その後課長に社内全館をおよそ半日かけてぐるっと案内してもらいました。

通りすがる社員の方々(名刺を頂いたら偉いポジションの方々だった)にも「今日から入られた方です」と紹介してくださり、皆さん笑顔で挨拶を返してくれる。

「あれ?こんなに温かく迎えてもらえるのか」と少し拍子抜けしたくらいです。

初週:まだ何も始まらない1週間

2日目から自席に座りましたが、業務で使う基幹システムのアカウントが準備中とのことで、正式な業務はお預け。

その間は課長が「しばらくは仕事できなから、グループウェアのページをあっちこっち見ててください」を言ってください、そのほか社内資料を読んだりしながら時間を過ごしました。

「何もすることがない1週間」というのは気まずいものですが、誰も私を気にとめるわけでもなく、時々同世代と思われるスタッフさんが「ゆっくり覚えていってくださいね」と声をかけてくださりで、少しずつ安心感が芽生えていきました。

徐々に始まる仕事と、心強い指導

アカウントが整い、正式に業務がスタートしてからは、直属の上司がマンツーマンで仕事を教えてくれました。

ありがたかったのは、教えるペースが「一気に詰め込む」のではなく、「まずは1つずつ覚えて、空き時間にマニュアルを作っていいですよ」と言ってくれたこと。

私は教えてもらったことを逐一メモし、その後に清書して自分用のマニュアルを少しずつ作り始めました。

今でもこの時作った自分マニュアルは大活躍で手放せません。

職場の人間関係は、“挨拶”と“ありがとう”がつくる

入社直後から、私が特に気をつけたことがあります。それは、挨拶と感謝を忘れないこと

年下の社員さんに対しても、丁寧な言葉遣いと「ありがとうございます」を欠かさないように心がけました。

最初の頃、私のデスクに書類を置いておくこと(業務上当たり前のプロセスなので無言で置いておくのは自然なことでした)に対しても、私が毎回「ありがとうございます」と伝えるようにしていたら、みなさんも次第に「お願いしまーす」と言って置いてってくれるようになりました。

些細な変化ですが、とても嬉しくて心の中でニンマリしていました。

また、フロアには気軽に話せる人も多く、ちょっとしたすきま時間の雑談にも自然に加われるようになり、「あ、自分はこの職場で受け入れてもらえてる」と実感するようになりました。

社員食堂や時給、そして「うれしい誘い」

ちょうど私が入社したタイミングで、社員食堂がリニューアルされたばかり。

カフェのようなおしゃれな内装に、500円前後の多彩なランチメニュー。これも地味にうれしいポイントでした。

そして何より、「この年齢でも働けて、しかも時給も良く、人間関係も良好」という環境に出会えたことは、本当にありがたいことです。

上司が時々飲みに誘ってくれることもあり、仕事外でも少しずつ打ち解けていける関係性ができつつあります。

課長から外ランチに誘っていただくことがあって、「みなさん本当に良くしてくださるので嬉しいです」と話したら「それは○○さんの人柄から来てるんですよ」と言ってくださったのは、照れてしまうけど感激の一コマでした。


まとめ:不安から安心へ。再就職の第一歩を越えて

最初の一歩を踏み出すとき、60歳という年齢、過去のつらい経験、そして新しい職場への緊張感が、すべて重なって押しつぶされそうになっていました。

でも、1ヶ月働いてみてわかったのは、「案外、世界はやさしい」ということ。
もちろんすべての職場がそうではないかもしれません。

私のパターンはラッキーでありごくごく希で再現性はないかもしれません。が、自分から丁寧に関わることで、良い関係はきっと築けるという実感を得ました。

あの守衛室の前でビビっていた自分に、「大丈夫、少しずつなじんでいけるよ」と伝えてやりたいです。

今後の記事ではポイントを絞って関係構築のコツや、大企業だけど意外とアナログな場面に驚いたエピソードなども書けたらと思っています。

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